設立趣意書 -1999年2月 代表:大竹龍史-

設立趣意書

1.設立の理由

現代は価値観の昏迷の時代です。急速な技術革新がもたらした経済構造の変化は我々一人一人の生活に大きな影響を及ぼし、世代間の相違に止まらない多様な価値観を生み出しています。

このことが会社など、組織の迅速な意思決定を困難なものにする大きな要因になっています。現状の認識の仕方や将来の方向性はそれぞれの個人の価値観をもとに作られるものだからです。

このような状況で全員を納得させることは事実上不可能であり、そして人間というものは本当に納得しなければ仕事に対して100%の力を発揮することはできない。また、迅速な決定が要求される状況においては時間が掛かり過ぎ、決定も最善のものとならないケースも多い。

私はこのことを以前に働いていた会社で経験しました。これはおそらくある程度以上の規模の会社ではどこでも直面している問題に違いありません。

この問題を解決するにはどうすればよいか。私は単純に次のように考えました。

価値観を共有する少人数の者で独立した組織を作ること

これには、会社を小さな部署単位に分割し、本当の意味での独立した組織を作るかあるいは自分が会社を辞めて、独立するかのどちらかです。前者は会社 のトップでなければできないことですから、私は後者を選びました。後述しますが、私は自分が信ずる価値観に従って、やる値打ちがあると思うことを自分のや りたい方法でやってみたかった。

そして同じ部で働いていて、私の考えに共鳴してくれた若き同志、山崎(本人は常々、もう若くないと言っていますが)とともに有限会社ナレッジデザインを設立しました。

2.会社の目標

さてそれでは会社の運営や事業展開の大本となる、私が信ずる価値観とは何か。 まず真っ先に次の問いに答えなければなりません。

1) 人は何のために生きているのか。

これに対する答えはきっと人さまざまでしょう。答えはないという人もいるに違いない。 私は次のように考えています。

新しいことを知り、新しいものを創り出すために人は生きている。

そして会社を設立した以上、次の問いに対する答えがなければなりません。

2) 会社は何のためにあるのか。

100人のうち99人はこう答えるのではないでしょうか。

会社は第一に収益をあげるためにある

私は次のように考えます。

会社は人が生活するための枠組みの1つである。 であるから会社は1)の問いに対する答えを実現するためにある。

この前提を基に、我がナレッジデザインでは次の方針を大切にして会社を運営して行きます。

  1. 個人の創造意欲が発揮され、知的欲求が満たされること
  2. 個人の仕事、個人の表現を大切にすること
  3. 自分の頭を使って考え、自分の言葉で表現すること
  4. 既成概念にとらわれない自由でユニークな発想や方法を大切にすること
  5. 皆で志を1つにして協力し合うこと
  6. 公正で透明な組織作りと運営を行うこと
  7. 健全なビジネス活動により社会に貢献できること
  8. そして上記のさまざまな目標を実現するために、会社は適正な利潤を得て存続し、発展していかなければ なりません。

3.会社の事業

ナレッジデザインの主要事業は、山崎と私が前の会社の部署で行なっていた仕事と同じく、コンピュータのトレーニングスクールです。私たちは次のような方針に基づいてトレーニングを行います。

  1. 優れた会社の優れたプロダクトをトレーニングスクールによって普及させる。

  2. プロダクトの機能や使用法を紹介するに止まることなく、設計思想、技術的 本質に注目してスクールを行う。

トレーニングスクールの講師というのは一面で演奏家と似たところがあります。 演奏家は自分の好きな曲でなければ意欲もわかず、よい演奏もできないでしょう。講師も、敬意を持てる会社の気に入ったプロダクトでないと良いスクールはできないものです。

次のような要素を持ったプロダクトのトレーニングを行います。

  • 技術的先進性を持ったもの
  • 知的好奇心や創造力を喚起するもの

次のような会社のプロダクトを扱いたいと思います。

  • 志の高さを持っていること (会社の社会性に対する意識など)
  • 開発者に対して敬意を払っていること (もちろん自社、他社を問わずです)
  • 謙虚であること (独占的、排他的なビジネスをしないこと)

若き同志、山崎(本人は常々、もう若くないと言っていますが)が好んで使う言葉に

Our company is new and small

というのがあります。まことに我々の会社は荒れ狂う海に乗り出した小舟のようなもので、危ういところもあるには違いありませんが、私も山崎も結構したたかな船乗りですし"Resolution"を持っていますから、何とか切り抜けて航海を続けていけるはずです。

記 1999年2月25日
大竹 龍史